年頭挨拶

2021年1月5日
室蘭工業大学長 空閑 良壽

確かな研究力をベースとした教育力

教職員の皆さま、明けましておめでとうございます。

年末年始の10日間のお正月休みの間、静かにstay homeされたことと推察いたしますが、皆さまリフレッシュされて、2021年を迎えられたことと思います。

本年は第3期中期目標・中期計画の6年目、最終年度を迎える年であり、第4期中期目標・中期計画の提出期限は、今年の7月末となっています。第3期の仕上げと、事実上始まっている第4期に向けての改革期間として、大変重要な時期となります。

最初に本学に関する昨年の大きなニュースを紹介しながら、今年、取り組むべき課題について述べたいと思います。

昨年は新型コロナウィルス感染症防止対策に明け暮れた1年となり、今年も引き続き、コロナ禍の中での、大学運営となります。昨年は教職員の皆様のみならず、同窓生の皆様、関連企業や自治体、一般の皆様も含めて、多大なる学生支援、大学支援のご寄付をいただき、学生諸君への支援に活用させていただいております。この場をお借りし御礼申し上げます。

本学の教育・研究に関しては、教職員の皆様のご協力の下、リモートと対面のハイブリットスタイルでの教育・研究の活動を行ってまいりました。今後も、室蘭工業大学のニューノーマル・ワークスタイルの確立も引き続き、大きな喫緊の課題となります。

昨年末には、文科省からコロナ対策施設経費の第3次補正予算が内示され、講義室等の空調設備の充実などの対策も進めて参ります。また、念願でありました図書館の改修工事も内示をいただきました。まさに本学キャンパスの中心部に位置する図書館の改修工事ということで、学生諸君が集まる学修の中心、そして大学キャンパスの中心部分の機能の充実を図り、教育・研究面のデジタルトランスフォーメーション(DX)の象徴の場所として位置づけ、学生諸君の学修の場として、大いにこの改修工事のチャンスを活用したいと考えます。また、施設整備に関しては、同窓会の皆様の多大なご寄付に基づいて教育・研究1-3号館連絡通路(愛称「そらみち」)が昨年8月に竣工し、研究棟と講義棟の移動に関する利便性が向上し、皆さんに大いに利用されています。

そのほかの大きなニュースとしては、Times Higher Education (THE)の世界大学ランキングは3年連続のランキング入りを果たし、世界で1001+位となりました。日本からは116の大学が、そのうち国立大学は57校がランクインしました。また、嬉しいことに、昨年10月に発表されたEngineering&Technology分野では、2019年に引き続き世界、601-800位の好位置をキープしており、日本の国立工業大学でみると東京工大についで、東京農工大と九州工大と並んで2位グループに入っています。さらには、朝日新聞出版社の大学ランキング2021年度版では、コンピュータ科学分野における論文被引用度が3年連続で全国1位に輝き、工学分野でも全国2位を獲得しました。

これらに限らず、教育の質の一つの証とも言える卒業生の企業人事担当者からの評判や本学の地域貢献度などを本学のブランド力の向上や優秀な入学志願者の確保へのアピールに活用したいと考えます。

昨年の本学の入試の本丸ともいうべき昼間コース前期日程の志願者倍率は、法人化以降、最高の倍率となりました。この傾向を一過性で終わらせることなく、真に入学志願者となる学生諸君にとって、魅力ある大学に是非ともなりたいものです。

また昨年9月には、太田香准教授が情報ネットワーク/情報通信分野の「世界で注目すべき若手女性研究者10人」に日本人としては初めて選出されました。昨年10月には、大樹町に航空宇宙機システム研究センターのサテライトオフィスを稼働させ、スペースポート構想の高まりに向けた連携・地域貢献の強化やインターステラテクノロジズ社との共同研究を加速させています。さらに昨年12月には、インターステラテクノロジズ社も本学内にアライアンスラボを設置し、共同研究体制を連携強化中です。さらに昨年末には山中真也准教授の「家畜伝染病の予防に現場で広く使用されている消石灰の消毒効果を可視化する技術」が、農林水産省の「2020年農業技術10大ニュース」に選定されました。この他、ここでご紹介できなかった本学の教職員の皆様の活躍も多数あり,本学の大きな力となっております。

次にこれからの本学の課題についてです。直前に迫っている第4期中期目標・中期計画の策定に向けて、本学のミッションをより明確に打ち出すことが必要となります。昨年の年頭の挨拶でも申し上げましたように、本学の強みは「確かな研究力をベースとした教育力」にあります。これをもって、北海道を「世界水準の価値創造の場」に導く大学でありたい。このような大学を目指したいと考えます。

理工系人材育成の観点からは、創造工学科とシステム理化学科の2学科体制の理工学部という大学始まって以来の大きな教育改革を行い、今年は3年目となります。ものごとの本質をつかみ、探究心を養う自然科学・理学教育の全学的充実や、ICTやAIの本質を理解して使いこなしMONO・価値づくりに貢献できる学生諸君を育てる工業大学ならではの情報教育を全学体制で推進しているところです。そのさらなる実質化を行うことが引き続き今年の重要な課題です。

さらには、2年後の2023年4月には理工学部の卒業生が大学院へ進学するタイミングとなります。したがって、今年は理工学部改組の趣旨を活かした大学院博士前期課程のあり方について明確な方向性を打ち出し、大学院での教育・研究体制の改革を進める必要があります。国立工業大学としては、大学院教育の充実は必須の課題であり、優秀な入学志願者の確保が重要で、そのためには学内からの進学者の増大のみならず、学外の学生諸君にも魅力ある大学院での教育と研究を行うことが大きな課題となります。一言でいえば、「学生諸君の後輩に本学への進学を勧めたい大学・大学院」になって欲しいということになります。さらに付け加えれば、「企業・社会が採用したくなる理工系人材」を育てることにあります。

具体策は皆様のアイデアもいただき第4期中期目標・中期計画にも反映させていくことになりますが、まずそこには教員の皆さんの研究力の向上が必須の要件と考えます。エビデンスに基づいた「確かな研究力」を高めて、それを「教育」に活かしていただけるよう、本学の環境を整えていきたいと考えています。

研究に関連しては、本学のweak pointともなっている科学研究費や公的補助金、民間との共同研究などによる外部資金の獲得額や、全体的な論文数の底上げは重要な課題です。本学は、社会連携統括本部やCreative Collaboration Centerの活動を始めとした組織対組織の共同研究や包括連携協定の実質化の推進を図っているところですが、そのベースとなる教員及び職員の皆さんの力の結集が重要です。また、北海道を「世界水準の価値創造の場」に導くビジョンとしての北海道MONOづくりビジョン2060も2019年6月に発表しました。まずは10年後を一つのマイルストーンとして、未来に繋がる本学の研究の活性化を推進したいと考えております。

冒頭に述べましたようにコロナ禍そしてポストコロナにおける本学のニューノーマルの確立が肝要です。2021年も教職員の皆様、そして執行部一丸となって、室蘭工業大学のさらなる発展に向けて頑張りましょう。

以上、私からの2021年の年頭のご挨拶とさせていただきます。