入学宣誓式 告辞

令和3年4月5日
室蘭工業大学長 空閑良壽

皆さんの入学は室蘭工業大学すべての教職員、在学生にとって大きな慶びであります。
新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。また長年にわたり勉学の環境を整えられ、本人たちの努力を支えてこられたご家族ならび関係者の方々にも、心から敬意とご祝辞を申し上げます。

今年度は新型コロナウイルス感染症対策の影響で3回に分けた入学宣誓式となりました。令和3年度の理工学部入学の新入生の皆さん、大学院入学の皆さんの晴れ舞台となる入学宣誓式を心待ちにされていたご両親、ご家族を初め関係者の皆さんにもご出席いただくことは叶わず、心よりお詫び申し上げます。

本年度入学者は、理工学部学士課程の621名、編入学生39名、大学院博士前期課程233名、博士後期課程9名、合わせて902名の皆さんです。今年はコロナ禍での影響も大きかったと推察されますように、海外からの留学生は学部に15名、大学院は18名、合わせて33名と昨年の52名と比べると少ない人数となっています。また理工学部学士課程入学者621名中、日本人学生の出身地は33都道府県に及んでいます。編入学生も含めた学部生660名の入学者に着目すると、今年は海外からは4ヶ国、15名(2.3%)、道外からの入学生は195名(29.5%)、道内からは450名(68.2%)となっており、コロナ禍の影響もあり海外や道外出身者数が減少し、道内出身者数の割合が昨年(法人化以降では最少)と比較すると10ポイント程度増加しました。

それでも、本学の留学生の諸君の総数はこの4月で214名(昨年215名)と過去最高の昨年とほぼ同人数となっており、教室に、研究室に、大学のキャンパスのあちこちにグローバルな多様性にあふれた環境を有する大学であります。

さて本日は、現在本学が取り組んでいる教育改革などホットなニュース、そして皆さんが本学在学中の学生時代にどのようなことを心がけるべきか、身につけるべきかについて、私からの期待を述べさせていただきたいと思います。

本学は全国にある86の国立大学の一員として、「地域貢献」を大きなキーワードとして掲げ、北海道の課題解決は、日本の、さらには世界の課題の解決につながると考えて、教育改革・大学改革に取り組んでいます。本学は工学部から理工学部へと大きく変わって、今年度が3年目となります。自然豊かなものづくりのまち室蘭の環境を生かして変化が激しい産業界で活躍しつづける幅広い理工系人材を育てるための教育改革を行い、大きく進化しました。物事の本質をつかみ、探究心を養うために自然科学・理工学教育を全学的に充実させ、さらにICTやAIの本質を理解して使いこなし、もの・価値づくりに貢献できる学生諸君を育てる工業大学ならではの情報教育を推進しています。

本日、この理工学部に入学された660名の皆さんは、本学の新しい教育を学ぶ第3期生ということになります。学部入学生の諸君はまず、講義棟で学びが始まります。講義棟のメインであるN棟は、全面改修工事が一昨年の秋に終了したばかりで、皆さんは新装された教室でのスタートとなります。学生諸君が積極的に自発的に授業に取り組むことができる、アクティブラーニングの手法を十分に活用できる教室が多く整っていますし、学習のための設備も充実させていますので、是非その機能を活用して頑張って学んでください。さらに、少し不便もおかけすることにはなりますが、本学のもう一つの学びの中心である図書館も大改修・増築を今年度から着工する予定です。皆さんの教育にもデジタルトランスフォーメーション(DX)の波は確実に押し寄せており、本学の学びの象徴とも言える図書館で、DXに対応した国立の工業大学ならでは図書館に仕上げたいと考えています。皆さんも大いに期待してください。

さて、皆さんはどのような目標・目的をもって室蘭工業大学に入学されたことでしょうか。
学部入学の皆さんはこれから貴重な4年間、大学院博士前期課程、後期課程の皆さんはそれぞれ貴重な2年間、3年間の時間を確保できたことになります。朝から晩まで正々堂々と誰にも気兼ねなく勉強できる、とても貴重な時間であり、我々社会人からみるととてもうらやましい時間ということになります。本学で大いに学び、伸びしろを大きく大きく作りましょう。本学で、まずは幅広い理工学の基礎、工学と科学の専門基礎知識を学びましょう。そして、先ほども述べましたように、工業大学ならではの情報技術を全ての学生諸君に身につける教育プログラムを用意しております。本学の優秀な教授陣が書き下ろしの教科書を作成して皆さんをお持ちしております。まずは、AIや情報科学の本質を理解し、国立工業大学卒業生として必要十分な基礎知識を身につけた科学技術者を育てたいと考えています。これに応えるよう、皆さんも頑張って学んでください。皆さんが自ら確保した貴重な時間の計画と夢を持って、能動的に授業に臨んでください。

しかしながらこの度は、新型コロナウイルス感染症の影響により、通常の教室での対面授業や演習・実験に加えて、一部の授業ではオンラインサービスを利用したリモート環境での授業の実施も想定しており、いわゆるハイブリッド型の授業スタイルとなります。我々教職員も、昨年度一年間の経験を活かして、このような環境下で最大の授業効果を得られるように、奮闘中であります。学生諸君の皆さんにも、通常の教室での対面授業よりも、学生諸君が自ら、積極的に集中して、授業に取り組んでいただく必要があります。私たち教職員も全力でサポートいたしますが、勉強するかしないか、これからの学生生活が上手くいくかどうかは、皆さんの対応・心がけにかかっていることは言うまでもありません。

毎年新入生諸君に申し上げていますように、「物事は何でも最初が肝心」であり、4年間の学生生活のなかで、最初の1年が非常に重要となります。最初の1年を順調に乗り切ると、残り3年間も安定した学生生活を送ることができる確率が大幅に高くなります。これは統計的なevidenceに基づいた確かな話です。入学時から卒業時にいたるまでの皆さんの大学での成績を統計的に見てみると、本学に限らず、実は入学試験そのものの成績と卒業時の成績にはあまり相関はありません。ところが、1年終了時の成績と卒業時の成績にはかなり強い相関があります。学生時代は、まじめに、真摯に取り組む姿勢、心構え、すなわち努力する姿勢が重要です。とりわけWithコロナ・Afterコロナの時代に大学生となった皆さんは、ハイブリッドスタイルの授業環境でスタートすることになり、自ら、大学生としてひとり立ちした大人としての観点から、真摯に学習に取り組む姿勢が問われます。本学としても、初年次教育の部分にはとりわけ教育力の優れた教授陣を配置しておりますので、是非、それに応える能動的修学を心がけてください。「大人としての観点からの学び」というのは、勉強しなさいと誰かに言われて、勉強するのではなく、自らその必要性を十分に理解して能動的に、主体的に自己責任の下、学ぶということです。是非、心に留めておいてください。

さて私は本学の強みは、「確かな研究力をベースとした教育力」にあると強く信じています。「確かな研究力」というのは、世界水準の世界に通用する研究力ということです。例えば本学のホームページでも取り上げていますように、ロンドンに拠点を置く Times Higher Education(THE)の世界大学ランキング(「研究力」を主な指標として、Teaching、 Research、Citations、Industry Income、 International Outlook の4つの観点から評価される)に3年連続のランクイン(1001+位)、Engineering部門では601〜800位となり、国立工業系大学のなかでは東京工大についで、九州工大と東京農工大と同じく2位グループとなりました。これは単に評価の一つの切り口ではありますが、大変素晴らしいことです。

私は学長に就任した6年前、本学の発展を勢いづけさせるために、何かしら本学が日本一になることを生み出せないか?見つけられないか?ということを常々模索しておりましたが、なんと本学は、昨年4月末に公表された朝日新聞出版社の大学ランキングによるとコンピュータ科学分野の論文1報あたりの被引用指数(他の研究者の参考となり論文の質が高いことになる)では、 3年連続で日本一に輝いています。さらには、工学分野でも日本で第2位という快挙です(朝日新聞出版:大学ランキング2019〜2021年度版)。もちろん、私の力ではなく本学教員の力の結集でありますが、まさにDream comes trueです。

また本学の学生諸君の頑張りも素晴らしく、つい最近の報道でもありましたように、学生諸君も開発に携わった人工衛星「ひろがり」の打ち上げ成功がありました。まさに研究に携わった学生諸君や教員の皆さんの夢が宇宙に打ち上がったわけで、宇宙空間での実験の成功を心より期待しています。無事に「ひろがり」からの電波を地上で受信できたと聞いています。学生諸君の夢が叶うまでもう少しまできました。またこの打ち上げには、一般の皆様にも協力いただいたクラウドファンディングの資金も投入されています。まさに、evidenceに基づいた「確かな研究力をベースとした教育力」の成果もひとつだと考えます。

皆さん、夢を持てば叶います!!

このようなevidence に基づいた本学教授陣の裏付けのある「確かな研究力をベースとした教育力」こそ、本学の実績であり強みです。私たちが目指す教育改革を裏付ける本学教授陣も万全の体制で臨みます。

最後になりますが、本学が目指している大学院充実の話をさせていただきます。皆さんは理工系の国立大学と私立大学の大きな違いはどこにあるかご存じでしょうか。国立大学のほうが、はるかに大学院生数の割合が高いことにあります。国立大学の大学院生の割合は、全大学院生の60%に達しています。国立大学の方が、学生さん一人あたりの教員数が多いことがよく取り上げられます。これは理工系大学であれば、教員の研究力の違いとして顕著であり、大学院の重要性につながっています。本学も含めて理工系における国立大学の大きな特徴は大学院の充実にあります。
我が室蘭工業大学においても、この度は、博士前期課程に233名、後期課程に9名の新入生を迎えました。学長としましては、先ほどから述べておりますように、本学教員の「確かな研究力」、すなわち、「世界水準の研究力に基づいた教育力」により、一層の大学院教育の充実を目指しています。教職員一丸となって、室蘭工業大学の特徴、強みを発揮できるようにチャレンジを続けていきたいと考えております。ぜひ、我々室蘭工業大学の教員の研究力・教育力の優れたところを吸収して、世界で活躍する高度理工系人材の一員として育ってください。

以上、新入生の皆さんに私からの大学生活での心構えと期待を述べさせていただき、入学宣誓式の告辞とさせていただきます。