室蘭工業大学航空宇宙機システム研究センターでは、宇宙航空研究開発機構・宇宙科学研究所(JAXA/ISAS)のTAG-SP(タッチ・アンド・ゴーサンプリングプローブ)チームと白老エンジン実験場において固体ロケットモーター燃焼試験を実施しました。
今回使用した固体ロケットモーターは、ロケットリンクテクノロジー社が開発し、植松電機により北海道内で製造された新機軸の低融点熱可塑性樹脂推進薬(LTP燃料)を、JAXA/室工大で設計した薄肉モーターケースに収めたものです。地上試験では10秒の燃焼試験を実施し、推力・燃焼圧とも設計値相当を達成しました。また、薄肉モーターケースの各部温度を計測し、熱設計の妥当性を検証しました。
本研究は、小重力天体に対し固体ロケットモーターによる探査機サンプリングリターンを実現するための技術として実施しており、固体ロケットモーターの推力偏向により探査機の並進運動制御および姿勢制御を目指しています。今後は、固体ロケットモーターの推力偏向燃焼試験、固体ロケットモーター推力偏向による探査機の着陸・再浮上試験に取り組んでいきます。
本研究は、科研費基盤研究(B)「遠方天体表面マルチアクセス技術の実現 -自在な宇宙探査のための探査工学」の助成を受け、実施されたものです。