室蘭工業大学航空宇宙機システム研究センターは、北大発認定スタートアップ企業のLetara株式会社と深宇宙軌道投入キックモーターの推進系に関する共同研究を実施しています。
Letara株式会社では本質的に安全なハイブリッドロケットを用いた宇宙用推進システムの開発を進めており、酸化剤としては自己加圧性のある亜酸化窒素(N₂O)を採用しています。室蘭工業大学では300 mの軌道上を走行するロケットスレッド設備において同じく亜酸化窒素を用いたハイブリッドロケットを採用しており、これまでに多くの運用実績があります。
令和6年10月15日から10月18日の間に本学白老エンジン実験場において、ポリカーボネートで製造された実物大タンクへの液充填、排出試験を行い、所定の燃焼時間におけるタンクの液位変化、温度変化、圧力変化などのデータを取得しました。また、スピン衛星に搭載時の状況を模擬するため、推薬供給システム全体をスピンテーブルに載せて液排出試験を行い、その挙動を把握しました。
また、Letara社の設計した渦流防止板の効果についても確認しました。共同実験には総勢10か国の出身者が試験場を訪れ、インターナショナルな体制で臨みました。本研究は経済産業省 成長型中小企業等研究開発 支援事業 JPJ005698 (Go-Tech事業)「安全かつ安価で高推力な宇宙機用に亜酸化窒素を用いるハイブリッド化学推進系の開発」の経費により実施されたものです。