室工大ニュース

名古屋大学 液液デトネーションエンジン 宇宙実証用フライトモデルの最終燃焼試験を白老実験場で実施しました

 室蘭工業大学航空宇宙機システム研究センターでは、国立大学法人東海国立大学機構名古屋大学笠原研究室および静岡大学川崎研究室と2024年2月19日~3月1日に本学白老エンジン実験場において、亜酸化窒素(N2O)およびエタノールをそれぞれ酸化剤・燃料とする液体デトネーションエンジンのフライトモデルでの燃焼試験を実施しました。10日間の実験期間中には、室蘭工業大学、名古屋大学および静岡大学から19名程度の教職員、学生が参画し、協働で試験運用に挑みました。

 当該エンジンは2024年度中に鹿児島県内之浦宇宙空間観測所よりJAXA/ISAS 観測ロケットS520-34号機で宇宙空間に打ち上げられ、世界初の液体燃料・液体酸化剤によるデトネーションエンジンの動作実証を目指すものです。

 2022 年 7 月のシリーズでは主として着火タイミングの確立、2022年12月のシリーズでは主として長秒時燃焼におけるC/C 複合材内壁の耐熱性確認、2023年5月のシリーズでは3種類の燃料噴射器を用いたデトネーション発生の有無への影響を確認する試験、2023年11月のシリーズでは噴射面の厚みを変えてデトネーション遷移状態への影響を確認する試験を行っており、これらの成果に立脚して製作された、実際に宇宙実証を行うフライトモデル本体の最終地上燃焼試験を本学白老実験場にて実施しました。予定されるシーケンスにて2度の燃焼試験を行い、高い再現性でデトネーションの発生を確認しました。また、アビオニクス機器、オンボードカメラなどの動作健全性も確認しました。夜間の白老は最低-13℃と過酷な環境となる中、アビオニクス機器の結露・氷結を避けるためのヒーター加温や断熱材による養生などを入念に行いました。  本研究は国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構戦略経費「デトネーションキックモータ観測ロケット軌道投入実証」および科学研究費補助金特別推進研究「自立圧縮型デトネーション推進器の物理解明:高次結合化観測ロケット宇宙飛行実証展開」の経費により実施されたものです。

保安集合写真
計測室の様子
デトネーションエンジン地上燃焼試験