室工大ニュース

数理情報システムコースにAI開発システムを導入しました

システム理化学科数理情報システムコースでは、2023年9月の情報教育用電子計算機システム(実習・演習用コンピュータシステム)更新において、BYOD※1対応演習室 (写真1、 2)とDocker※2を利用したAI開発システム(写真3)および、サーバ接続のためのWi-Fiネットワークを導入しました。

特にAI開発システムは、単にPythonによるAIプログラミングを行うだけでなく、学生が持ち込んだコンピュータのシェル※3からコマンドで操作する実習(写真4)を前提に設計しており、Linux OSやネットワーク接続に関する基本的なシェルでのコマンド操作実習が可能なシステムです。さらに2名で組んでプログラムを開発するペアプログラミング実習としてAI開発の授業を実施するため、学生が持ち込んだ63台(演習室定員126名の半数)のノートPCから同時に発行するジョブ※4を並列処理する図1のジョブ管理システムを導入することで多数の学生が同時にAI開発を行うことができます。

本AI開発システムを用いた演習・実習は、2023年度後期に3年生に開講する情報学応用演習Bから利用が始まります。また、BYOD対応教室となったR105/106教室は、システム理化学科数理情報システムコースのプログラミングを伴う演習科目だけでなく、コンピュータの持ち込みを想定した座学の講義でも利用します。

用語の説明
※1 BYOD (Bring Your Own Device) とは、「個人が所有する端末を持ってくる」という意味です。ここでは学生が所有するノートパソコンを持ち込み、自分自身のマシンでプログラミングなどの情報教育を受けることを想定しています。
※2 Dockerとは、コンテナ仮想化技術を用いてアプリケーションを開発・配置・実行するオープンプラットフォームです。本学では、GPUを用いたAIの学習や推論(実行)のプログラムを動かすために、NVIDIA社が提供するNVIDIA Container Toolkit (nvidia-docker)を利用できるAI開発システムを構築しました。
※3 シェル(shell)とは、OSを利用するユーザからのコマンド操作やその操作結果をコマンドラインに表示するプログラムを指します。操作は全てコマンド入力で、コンピュータの仕組みを理解していないと使いこなせないので、コンピュータシステム自体の学習やネットワークの理解に非常に効果的とされています。
※4 ジョブとは、クライアントとなるPCからサーバに送るプログラムを動作させる命令・処理のまとまりのことです。

写真1 アクティブラーニング対応教室(R105/106)
写真2 アクティブラーニング対応教室(R105/106)での授業風景
写真3 AI開発システム(上: ディスクサーバ、下: GPUサーバ)
写真4 AI開発サーバと通信するBYOD端末の例(シェルでコマンド操作)
図1 AI開発サーバのジョブ管理システム