室工大ニュース

地球低軌道上にて将来の月探査のための新たな推進・航法技術を実証 JAXA J-CUBE プログラムにHOKUSHIN-1 衛星が採択

【発表のポイント】

  • 室蘭工業大学、北海道大学、東北大学が共同で取組む超小型人工衛星「HOKUSHIN-1(読み:ほくしんわん)」の開発が本格的に始動。
  • HOKUSHIN-1は、高度約400 kmの地球周回軌道上にて将来の深宇宙探査ミッションに向けた様々な新技術の実証実験を実施。
  • HOKUSHIN-1にて実証される新たな推進・航法技術の活用により、大学独自の月探査ミッションが可能となり、チャレンジングな深宇宙探査の加速に貢献。

【概要】

室蘭工業大学が北海道大学、東北大学と共同で取組む超小型人工衛星「HOKUSHIN-1(読み:ほくしんわん)」の開発が本格的に始動します。このプロジェクトは、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)と特定非営利活動法人宇宙工学コンソーシアム(UNISEC)が実施する、国際宇宙ステーション「きぼう」日本実験棟からの超小型衛星放出機会を利用した国内大学向け超小型衛星放出機会の提供1(J-CUBE)プログラムで2021年度に採択されました注2。打ち上げは2023年度中を予定しています。

HOKUSHIN-1は、将来の月以遠ミッションを行うためにシリーズ化された技術実証衛星の第一弾です。数kgの超小型人工衛星が地球低周回軌道を離れて深宇宙へと活動の領域を広げるためには、大学プロジェクト規模の比較的小規模な設備・人員数・開発費で実現可能な深宇宙探査機技術の獲得が求められます。そのためには「大学地上局による軌道決定」「コンパクトで効率的な推進装置」「大電力発電が可能な展開式太陽電池パネル」技術は不可欠であり、HOKUSHIN-1にてこれら3要素の技術実証を行います。これにより、大学独自の自由で挑戦的な深宇宙探査が発展することが期待されます。

室蘭工業大学では、この活動を航空宇宙機システム研究センターが、f3(エフキューブ)工学教育研究センターと連携して進めます。HOKUSHIN-1の開発と運用において、システム工学の実践や宇宙実証の経験を通じて、工学リーダー人材の育成を行います。

室蘭工業大学は、太陽電池パネルの機構設計・構造設計、熱解析や構造解析、および環境試験などを担当します。

各大学の実施組織と本プロジェクトにおける代表者

  • 室蘭工業大学 航空宇宙機システム研究センター

センター長・教授 内海 政春

https://www.muroran-it.ac.jp/aprec/

  • 北海道大学・室蘭工業大学 f3(エフキューブ)工学教育研究センター

北海道大学大学院工学研究院 特任准教授 坂本 祐二

https://f3.eng.hokudai.ac.jp/

  • 東北大学大学院工学研究科 航空宇宙工学専攻 吉田・桒原研究室

教授 吉田 和哉

https://web.tohoku.ac.jp/astro/sat/index.html

注釈

(注1)超小型衛星放出機会の提供(J-CUBE) 

http://unisec.jp/service/j-cube

(注2)2021年度公募結果

http://unisec.jp/j-cube/2021_j-cube_result.pdf

超小型人工衛星「HOKUSHIN-1」 
太陽電池パネル展開前
超小型人工衛星「HOKUSHIN-1」
太陽電池パネル 展開後