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インターステラテクノロジズの超小型人工衛星用ロケットZERO室蘭工業大学・荏原製作所との実機モデルでのエンジン試験が本格始動

インターステラテクノロジズ株式会社(本社:北海道広尾郡⼤樹町、代表取締役社⻑:稲川貴⼤、以下インターステラテクノロジズ)と国立大学法人室蘭工業大学(北海道室蘭市 学⻑:空閑良壽、以下室蘭工業大学)、株式会社荏原製作所(本社:東京都大田区 取締役・代表執行役社長:浅見正男、以下荏原)は、共同で研究開発を進めている、超小型人工衛星打上げロケット「ZERO」(以下ZERO)のエンジン用ターボポンプについて、ポンプ部分の性能を確かめるための要素試験となる「水流し試験」(以下本試験)を行い、ポンプの効率や昇圧性能など必要なデータを取得しましたので、お知らせいたします。
今後、本試験の結果を踏まえた数回の水流し試験を経て、ターボポンプ全体の機能・性能を確かめる「ターボポンプ冷走試験」、燃焼器などをすべて含めた2023年度の「エンジン統合試験」へと開発を進めてまいります。

インターステラテクノロジズの超小型人工衛星用ロケットZERO室蘭工業大学・荏原製作所との実機モデルでのエンジン試験が本格始動(プレスリリース全文)

試験名称 :ポンプ単体水流し試験
試験目的 :ポンプ性能が設計で予測される理論的性能を満たしているかを確認すること
期  間 :2022年4月25日~28日
場  所 :インターステラテクノロジズ本社
試験内容 :設計時の予測通りに、ポンプが回転軸の動力を流体(水)の圧力に変換できたかについて、広範囲な流量における データを取得した
試験映像 :https://drive.google.com/file/d/1rfAQpAFWE77TLWx45MZr8ztgX-HGbFd6/view
      ※試験対象時間は0分30秒~3分5秒あたりとなります

ロケットの”心臓”ターボポンプ、設計・製造・試験を3機関で初実施

推進剤(燃料・酸化剤)タンクから燃焼器に燃料と酸化剤を送るための”心臓部”に当たるターボポンプは、インターステラテクノロジズがこれまで打ち上げてきた観測ロケット「MOMO」(以下MOMO)にはない部品で、ロケットエンジンの中でも最も開発が難しい要素の一つと言われています。

ターボポンプはタービン部分とポンプ部分(インデューサとインペラで構成)、それらをつなぐ軸と機構部品で成り立っています。

ターボポンプ概念図

ZEROで使用するターボポンプは長さ約35cm、直径約30cm。1分間に数万回と高速で回転するタービンの力でポンプを駆動させ、推進剤を高圧で燃焼器に送り込むことで高い推進力を生む役割を持っています。
ターボポンプの設計は、室蘭工業大学に設置された「宇宙プロジェクト共創ラボラトリ」にて、インターステラテクノロジズと室蘭工業大学、荏原の共同で進めてきました。本試験の前には、室蘭工業大学が主導してインデューサ単体での水流し試験も行っており、今回はそのインデューサとインペラ(遠心羽根車)を統合し、より実機のターボポンプに近い形での試験となりました。

本試験の目的は、実機と同一設計で製作されたモデル(ポンプ部)の性能を確認することです。試験ではタービンの代わりに、電動モーターによって回転軸を駆動させました。モーターからポンプへの動力伝達部は、ポンプの開発や運用で数々の実績がある荏原が設計・製造ともに担当しています。当日は3機関のメンバーが集結し、それぞれが役割を分担しながら実施する初めての本格的な試験となりました。

室蘭工業大学を拠点に昨年9月から共同開発

室蘭工業大学は日本の基幹ロケット用エンジンの開発に関する豊富な経験と実績を有しており、インターステラテクノロジズは2019年度から、室蘭工業大学と共同で低コストターボポンプの研究に取り組んできました。

荏原は2021年8月、社長直轄のコーポレートプロジェクトとして「CP水素関連事業プロジェクト」を発足し、主力テーマの一つとして航空宇宙技術分野を掲げました。3者は2021年9月より、室蘭工業大学航空宇宙機システム研究センターに開設した「宇宙プロジェクト共創ラボラトリ」を拠点にターボポンプの共同開発に取り組んでいます。

(参考)室蘭工業大学、荏原との3機関による共同開発開始プレスリリース

大学からのコメント

国立大学法人室蘭工業大学 航空宇宙機システム研究センター長・教授 内海 政春

高速回転機械がいよいよ回り始めた、というわくわく感・ドキドキ感があります。

ターボポンプは心臓によくたとえられますが、ZEROの心臓と開発担当者の心臓の両方がすごい勢いで動き始めています。インターステラテクノロジズや荏原製作所のエンジニアのひたむきな姿に敬意を表するとともに、この開発に携わっている当研究室の学生も刺激をもらっており、日々の成長を感じています。

これからも乗り越えるべき山が連続してやってきますが、目標とする頂はより大きく、はっきりと見えてきていますので、引き続き3機関の総力を結集して進めていきます。

本件の取材に対する問い合わせ

国立大学法人室蘭工業大学 総務広報課  宮下 Mail:koho@mmm.muroran-it.ac.jp  TEL:0143-46-5014