●イノベーション科目による育成
本プロジェクトでは、次世代のイノベーション博士人材の育成のために、①異なる研究分野に対応できる、②様々な視点から研究テーマについて掘り下げることができる、③学術研究のみならず広く産業界でも活躍できる、という知識・技能の養成を行う。このため、以下に示すイノベーション博士人材育成コンテンツを活用する。
この科目では、学生が国内外の企業等で自身の専門分野と異なる分野に挑戦し、通常の大学での活動と異なる環境下でも活躍できる力を養う。インターンシップにおいて、いわゆる「武者修行」の要素を強化したものである。例えば、本学と共同研究を実施している海外企業などへ博士後期課程学生を派遣し、自身の専門分野と異なる分野の異なる環境において、研究開発活動の経験を積ませる。期間は1ヶ月以上とする。主な受け入れ先としては、各専門分野において本学教員と国際共同研究を実施している企業・機関、本学と包括連携を結んでいる海外企業、海外研究機関、海外の大学等を想定しており、きめ細かな活動支援が可能である。なお、「次世代イノベーションチャレンジ」のスーパーバイザーは、博士後期課程の主指導教員とは異なることとし、共同研究企業関係者、本学客員教授等を想定している。これにより、学生に異なった環境における一種の他流試合、すなわち、武者修行の場を提供することが可能となる。専攻として、教員、学生、スーパーバイザーが参加する「次世代イノベーションチャレンジ」の発表審査会を設け、外部機関と本学とが連携した博士後期課程アドバイザリーボードによる多面的な指導を行う。本科目の事前・事後の学修を手厚くサポートするために、大学院生対象のキャリアサポート専任の特任教員を充てる。
国際会議での発表を必須とし、ネイティブスピーカー教員と専門教員(主任指導教員)が協力する形で行う。留学生は英語に堪能であっても、授業に同様に参加し、留学生を含む博士後期課程の学生が一堂に会した授業に積極的に関わることで国際的なコミュニケーション力を育む。但し、少人数による語学教育の効果をあげるため、通常の英語プレゼンテーション能力を高める狙いの授業は1クラス8人以下で構成し、専門教員も指導に参加した専門テーマに関する討論、議論、質疑応答を主体とした模擬発表会は複数クラス合同で学生が一堂に会して、互いに刺激しあい切磋琢磨する場として行うこととする。
幅広い専門分野において民間企業やアカデミック分野で特筆すべき業績や成果を上げた企業経営者や有識者を招いた講演、講話を主体とした科目であり、学生の見識、視野を広げ、複眼的な考え方・見方を培う。博士後期課程3年間で2回(1、2年次に年1回)以上出席し、専攻長へのレポート提出を必須とする。
本学コンピュータ科学分野の世界トップレベルの研究実績を活かしてコンピュータ科学分野およびその融合分野の世界トップランナーの研究者を招き、セミナーを開催するとともに、ディスカッションの機会として情報交換会を開催する。学生は情報交換会でのディスカッションを通じ、自身の専門分野と異なるコンピュータ科学分野の最先端の専門知識・技能やその研究開発マインドを学ぶ。また情報交換会を通して、専門知識・技能をベースとしたトランスファラブルスキルを養成する。
各専門分野の知見を実社会に適応させる際に重要となる「異分野において活用できる情報技術」を培う目的で、本学の強みの一つであるコンピュータ科学分野の知識・技能を異分野で活用している研究者が、支援対象学生全員に向け講演する。本セミナーでは、本学の同分野卓越研究員等が、様々な融合分野における実践的なホットトピックスとして研究開発を紹介・解説することにより、学生は幅広い産業分野で活かせる「生きた」知識・技能として最新の情報技術や課題解決方法を学ぶと共に、関連したトランスファラブルスキルを養成する。
大学院生、若手研究者を対象に英語論文発表に至るまでの具体的な手順、ノウハウ、論文のクォリティ向上、英語力向上を目的としたセミナー(英語論文執筆セミナー)を開催する。
大学院博士後期課程の学生に研究成果は発表させ、企業等との交流を通じ、大学発の新たなイノベーションの普及・発展の芽を広げるとともに、自らのキャリアの多様な可能性を自覚させる目的で、企業と本学や他大学の博士課程学生の参加のもと開催する。参加企業の紹介とブース説明、学生による研究発表、企業担当者と学生の情報交換会が行われる。このドクコンに取り組む学生の事前・事後を十分にサポートするために、大学院生対象のキャリアサポート専任の特任教員を充てる。
これらは全て必修である。
なお、これらの人材育成・教育コンテンツには、選抜されたDC学生と共に、選抜学生以外のDC学生も履修するものが多く含まれており、選抜学生のみならず、その他のDC学生にも本プロジェクトの教育効果が波及すると期待される。また、これらのコンテンツについて、アドバイザリーボードや支援学生、関係教員の意見を反映して、必要な改善やより一層の工夫を図っていく。
本件担当:学務課教務企画係、研究協力課研究戦略係