本学の卒業生である小寺亮さん(現職:佐藤総合計画)が2024年日本建築学会作品選集新人賞を受賞しました。本賞の受賞は2023年の尾口晴基さん(現職:日建設計)につづいて2年連続の受賞でした。
日本建築学会作品選集新人賞は若手会員の作品発表を奨励するために2013 年に創設された賞で、若手建築家の登竜門とされています。40歳未満の筆頭設計者を表彰する大変名誉ある賞です。
特筆すべきなのが、両氏は共に本学の山田 深研究室の卒業生であるということです。同じ大学のしかも同じ研究室の卒業生が2年連続で受賞する快挙です。
【小寺亮さんの作品と解説】
青森市新庁舎は、大きな広場や“サードプレイス”と呼ばれる市民が自由に利用できる広い屋内スペースがある「市民に開かれた市役所」です。設計で大切にしたことは、市内に分散されている庁舎機能が近い将来、この新市庁舎に集約されることが想定されたため、将来を見据えて拡張性の高い建築のあり方、そして、市民が気軽に利用できる居場所をつくることです。建築は敷地いっぱいに広がるのびやかな構成とすることで増築の時に拠り所となる
“軸”の役割を持たせています。1階は広場も含めてほとんどが市民の居場所としました。この建築を通して、社会の変化によって変わっていくもの(庁舎機能)と変わらないもの(市民の居場所)が混同するあり方を考えました。
※小寺亮さんの作品写真は船来洋志:川澄・小林研二写真事務所が撮影したものです。
【受賞者コメント(小寺亮さん)】
公共建築の場合、プロポーザルを経て設計から施工、供用開始するまで長い期間がかかります。青森市新市庁舎は約6年間、一生懸命やった成果を評価いただき、建築学会から、このような賞をいただけたのは嬉しいかぎりです。
さらに、昨年度、山田研究室の1学年先輩の尾口さんに続けて受賞できたことは、山田先生のご指導の賜物だと、本当に感謝しています。(おそらく、同じ研究室出身者が2年連続して受賞したことは初めてだと思います)
(在校生に向けて)
室工大は私が在籍した当時、24時間出入り自由な製図室に入り浸って(ほぼ寝泊りして。笑)日々の設計課題に打ち込める環境がありました。山田研究室に配属後は、山田先生はもちろん、同期や先輩、後輩と切磋琢磨しながら研究やコンペに集中でき、その経験は今も建築を考える上でのベースになっています。室工大で建築を学べて本当によかったと改めて感じています。
(これからの抱負)
これまで市庁舎や図書館、スポーツ施設など、長い時間使われ続ける“公共建築”を中心に設計活動を行ってきました。複雑さやスピード感が増していく社会の変化を受け入れながら、建築される地域毎の課題と向き合って設計することを大切にしてきました。今後も、そういったことを考えながら、新しい建築にチャレンジしていきたいと思っています。
【尾口晴基さんの作品と解説】
受賞作である「京都女子大学E校舎」は京都の風光明媚な東山の山裾にキャンパスを展開する大学の中核をなす建物であり、学生の居心地の良さや、今までにない大学の在り方を探って実現できた建物です。私が学生時代から設計のテーマと考えている、建築とランドスケープの融合を実現し、内部、外部至る所に学生の居場所となる空間を丁寧に作り上げました。
【受賞者コメント(尾口晴基さん)】
「建築学会作品選集新人賞」を受賞することができ、大変光栄に思います。
ただし、この受賞は企画された大学様、建設された施工者様、設計に関わったメンバー、全ての方の努力によって成し得たことだと思います。
学生時代から考えていたことを形にすることができたのは、室蘭工業大学在籍時に恩師の山田深先生にご指導いただきながら、友人と共に夜遅くまで建築設計について語ったことが根幹にあると感じています。
引き続きよりよい建築を設計できるように精進してまいります。また、今回の受賞が在学生の励みになるようであれば幸いです。