本学大学院情報電子工学系専攻電子デバイス計測コースの学生が、令和5年5月30〜31日に札幌コンベンションセンターで開催された日本希土類学会主催の第39回希土類討論会における発表で「学生講演賞」を受賞しました。日本希土類学会は希土類に関心がある者が相つどい、相互の知識を交換し、希土類の科学と技術を進歩向上させることを目的として活動している学会です。
本賞は希土類討論会において、発表内容が高いレベルにある優秀な講演を行なった学生を表彰するもので、高圧合成法により作製した新規希土類化合物の物性研究が高く評価されての受賞です。
受賞内容は、以下のとおりです。
寺坂聡志(関根研究室)「充填スクッテルダイト化合物ErFe4P12の高圧合成と磁気的性質」
第39回希土類討論会、2023年5月31日(共同研究者:関根ちひろ)
現在の電子デバイスは、電子の電荷またはスピンを利用したものであり、電子の軌道の自由度を利用したものは開発されていません。しかし、近年、軌道自由度とスピンを合わせて整理される多極子自由度が関与する新たな秩序相の発見など、実験的に多極子秩序の存在が確認されており、将来、新たな電子デバイスへの応用が期待されています。充填スクッテルダイト化合物は、多極子自由度が関与する現象が多く発見されており、多極子研究に不可欠な物質の一つです。本研究では、超高圧力を用いた合成手法により、重希土類元素のエルビウムを含む新規充填スクッテルダイト化合物の純良試料の合成に成功し、この化合物が低温で多極子自由度が関与すると考えられる異常物性を示すことを明らかにしました。本研究により得られた結果は、次世代電子デバイスの開発に向けて重要な知見となることが期待されます。
<受賞コメント>
この度は、第39回希土類討論会学生講演賞という大変名誉ある賞を頂き、誠に嬉しく思います。大変光栄に思うと同時に、身の引き締まる思いです。今回の受賞は、日頃から熱心にご指導頂いた関根ちひろ教授及び卒業されていった研究室の先輩方あってのことと、厚く御礼申し上げます。今回の受賞を励みに、今後より一層研究活動に精進したいと思います。