本学大学院博士後期課程工学専攻の大町知輝さんが、2022年度笹川科学研究助成において、「2022年度笹川科学研究奨励賞」を受賞しました。
本賞は、笹川科学研究助成において研究を完了した助成対象者の中から「さまざまな理由で他から助成の得難い研究」を考慮した上で、次の視点を加えて日本科学協会の笹川科学研究助成選考委員会より表彰されるものです。
・研究の姿勢が真摯であること
・研究の遂行に創意と工夫の努力がうかがえること
・研究成果につながる結果を出していること
・今後の研究の発展が期待できること
・次年度以降も研究に従事すること
研究を完了した333名の助成対象者から、16名の受賞者のうちの一人に大町さんが選ばれました。
<受賞者および受賞研究内容>
大町知輝 (生化学研究室 D2)「水産廃棄物アコヤガイ貝殻真珠層の有効利用-機能性食品としての利用-」
2022笹川科学研究助成、2023年4月21日 (共同研究者:長谷川靖)
真珠は古くから生薬として利用されていますが、その有効成分や作用は明らかにされていません。また、真珠を作るアコヤガイの貝殻には真珠とほぼ同じ組成で構成された真珠層が含まれていますが、年間10万トン以上のアコヤガイ貝殻が水産廃棄物として処理されています。本研究では、アコヤガイ貝殻の真珠層に含まれる有機成分が、マウスの抗不安・抗うつ作用を示すことを明らかにしました。また、その作用メカニズムを明らかにするとともに老化に伴う攻撃行動、概日リズムの乱れを抑制することも明らかにしました。本研究により、真珠が認知症に伴う周辺症状を改善する物質として将来利用できる可能性を示しました。
<受賞者コメント>
この度は笹川科学研究奨励賞を受賞することができ、身に余る光栄に感じております。この表彰はこれまで自分にご指導いただいた長谷川先生や研究室のメンバー、研究活動に取り組む中でお世話になった学内外の方々など、多くの皆様のご協力があって得られたものだと考えています。この場を借りて、関係の皆様に深く感謝申し上げます。今後も現状に満足することなく、自身の研究のさらなる発展に邁進していく所存です。